2色成形

2色成形の射出成形機とは

2021.05.26

2色成形の射出成形機とは

プラスチック素材を熱で溶かし、金型に流し込んで成形する機械を「射出成形機」といいます。
プラスチック射出成形機とも言い、「素材を溶かす(溶融) → 型に流し込む(射出・成形) → 固める(冷却) → 取り出す」といった工程を1台で処理することができる工作機械です。

昔の射出成形機

まずは射出成形機の歴史を軽くまとめてみたいと思います。
世界で最初の射出成形機は、今から約100年前の1921年、アセテート(化学繊維)を開発したドイツ人の研究者グリュンがブッフホルツと共同で開発した竪型射出成形機であるといわれています。「竪型」というのは、金型を縦方向に開閉するということです。重力に沿った形なので金型が長持ちしやすい傾向にあります。
その1年後の1922年、ドイツのエッケルト・チーグラー社が、アルミダイカスト(溶融したアルミニウムを金型に入れて成形)の経験を生かして、水圧式及び空圧式竪型射出成形機を作ります。
そしてさらに4年後の1926年、エッケルト・チーグラー社が、金型が横方向に開く横型射出成形機を開発しました。「横型」は金型からの成形加工製品を取り出しやすく、現在の主流となっています。

1930年前後には酢酸ビニル樹脂やPMMA、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂などが次々と開発されていき、効率の良い熱可塑性プラスチック成形加工の必要性が一気に高まりました。これに応えるように、1933年には、ドイツのフランツ・ブラウン社が画期的な機械駆動式横型射出成形機 Isoma(イゾマ)を開発しました。
一方アメリカでも、ドイツにほとんど遅れることなく射出成形機が発展していきました。

反対に日本での射出成形機の利用は、欧米に比べてだいぶ出遅れてしまう形になりました。
1937年に古河電工がエッケルト・チーグラー社の射出成形機を輸入し、アセテートやポリスチレンの成形加工の研究を始めます。これが日本での最初の射出成形機だといわれています。
1942年には、これをモデルに、名古屋の名機製作所が国産初の射出成形機「8AH」を開発しました。
※製作年を1938年とする資料もあります。

今の射出成形機

現在日本国内で使用されている射出成形機のほとんどは、日本メーカー製のものです。これは、日本メーカーが欧米メーカーよりも日本のユーザーの要求によく応えていることや、中国などの新興国メーカーはまだ技術的にこのレベルには達していないこと、日本国内でのアフターサービス体制の充実度に差があることが大きな要因と考えられます。
用途に合わせて様々な構造の射出成形機があります。

  • プランジャー式射出成形機
  • プリプラ式射出成形機(プランジャープリプラ式・スクリュープリプラ式)
  • スクリュー式射出成形機

【 プランジャー式射出成形機 】

加熱シリンダーの中にある成形材料を、ピストンの形をしたプランジャーで圧力をかけて射出を行います。
1960年代の初めの方までは一般的な工法でしたが、今はあまり使われず、特殊な用途にしか使われていません。

【 プリプラ式射出成形機 】

2本のシリンダーを組み合わせた構造となっています。
プリプラ用加熱シリンダーの構造の違いで、2つのタイプに分類されます。

  • プランジャープリプラ式
    成形材料の予備の可塑化(かそか)に、プランジャー式とほぼ同じ構造をしたものを使用しています。
  • スクリュープリプラ式
    成形材用の予備の乾燥に、スクリュー式を利用したものです。

【 スクリュー式射出成形機 】

1本のスクリューに、成形材料の可塑化・混練(よく混ぜ、練り合わせる)・計量・射出の4つの機能を持たせたもののことです。
プリプラ式に対して、スクリュー・イン・ライン式とも呼ばれ、現代におけるもっとも代表的な構造です。

2色成形の射出成形機の特徴

2色成形と他の射出成形、インサート成形を比べた時の違いはいくつかありますが、1番の特徴は180度回転・反転といった工程が加わることです。多機能な成形品が1工程で生産できるため、品質の高い成形部品を生産することが可能です。また大量生産にも適しています。

ただし、金型設計には部厚の調整が必要で、使用する樹脂同士の接合、また流動解析においても高度な技術が不可欠になります。
技術が無ければ、樹脂が分離してしまうなどといった不具合が起きてしまいます。さらに、金型の温度のコントロールにも細心の注意が必要です。
異なる形の樹脂や材料、プラスチック、エラストマー(軟質材料)を組み合わせる2色成形は、確かな技術なくして確立しない工法といえます。

大成プラスでは、長年に渡る2色成形の実績を活かし、ニーズに合わせた最良のご提案をさせて頂きます。
ぜひお気軽にご相談ください。

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